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夏の終わりに
ここ数年、夏になると毎年思い出す曲があった。
10代後半のころ、つまり70年代の終わりに、夏になるとFMでヘビーローテーションしていた曲だ。
すごくカッコいい曲だった。インストゥルメンタルで、とにかくギターがスリリングでカッコいい。
イントロはピアノ。そのあとストリングスがかぶる。
スローテンポだが、緊張感のあるメロディー。これが序章のような感じで続いた後、一転してアップテンポになり、ギターがかき鳴らされる。
この曲・・・何というバンドの何という曲だったかしら?と、思い出すたび、記憶をたどっていた。しかし、夏になるとよくかかった曲、としか思い出せない。
でも、たしかバンド名だけは覚えていたはず・・・とさび付いた脳細胞の古い回路を一生懸命たどり、やっと答えが引き出せた。
「パブロ・クルーズだ!」
検索して、ヒットした文章を読む。「パブロ・クルーズと言えばサーフロック云々」と書かれている。へえ、サーフロックってジャンルがあるんだ。だから夏によくかかったのかな。そういえばなんとなくサーフっぽい、というか海へのドライブなんかにあいそうな曲だ。

と思って今度はAmazonで検索した。何枚かのCDが出てきた。


しかし、「その曲」の曲名がわからない。各々のCDにつき、数少ないレビューの片隅まで読むけど、どうも該当するような曲がない。
次のCDをクリック。
わあ、な、なんだこのジャケット。むさくるしいお兄さんたち。

サーフロックのイメージと違いすぎる。さわやかさがない。かといってマッチョというわけでもなく、なんとなく中途半端なお兄さんたちだ。
70年代には、こういうのが良しとされたのかしら?と思いながら1件だけついてたレビューを読む。
「ジャケットは暑苦しい男たち」とあって笑った。
その後、「この1曲を聞きたいがためにこのCDを買った」ということが書いてあった。
それこそ、私の探していたインスト曲だった。
曲名は「ゼロ・トゥ・シックスティ・イン・ファイヴ」
なんか覚えにくい名前。だからFMでも聞き逃してたのかな。
レビュワーが「この1曲のために」買った、というだけあって、どうやらそれはなかなかの名曲らしい。よーし、私も買っちゃおう。
とは思ったものの、節約根性でオンラインストアをいくつか探してみた。1曲だけDLできたらいいのだから。しかし、30年以上前の、そんなにメジャーじゃないバンドの、大ヒットしたわけでもない曲が、オンラインストアにあるわけなかった。
ちょっと悶々としていたところ、次男がタイムリーにも「アマゾンでCD買いたいんだけど」と言ったので、便乗して買うことにした。昔のアルバムなので思い切り廉価盤、たった1744円。(それでも節約しようとした自分が悲しい)
2日後、車で出かけるときにポストを見たらそのCDが届いていた。
車に持ち込み、早速開封した。ドキドキ。昔の恋人に会うような気分。
「ゼロ・トゥ・シックスティ・イン・ファイヴ」は6番目。当然真っ先に聴いた。
おお、これこれ!この曲よ!今聴いてもまったく遜色ない。カッコいいではないか。
ストリングスのアレンジが70年代ディスコっぽくて、ちょっと古くさい感もあるが。それを差し引いても十分カッコいい。昔は気づかなかったが、案外ピアノが目立っている。
ライナーを読むと、バンドの中心人物コリー・レリオスは6歳からクラシックピアノをやっていたということ。いわれてみればいかにもそれらしいフレーズが続く。
しかし、この曲、ドライブに最高だわ。疾走感。アマゾンのレビュワーも書いてたっけ。
結局、私は予定より遠い場所を目指すことにし、より長く運転してこの曲をリピートしまくった。気持ちよかった。
十分満足した後、やっと1曲目から聴いてみた。
うん、いかにもあの頃のアメリカン・ロックである。ウエスト・コーストって感じ。
ライナーを読むと、サンフランシスコ出身のバンドとなっていた。
そして「ゼロ・トゥ・シックスティ・イン・ファイヴ」は、サーフィン映画の古典的名作「FREERIDE」のテーマ曲に抜擢され、パブロ・クルーズはそれで全米の若者に有名になった、と書いてある。だからこの曲には「フリー・ライド・サーファー」という副題がついている。
その後、アメリカ3大テレビの人気スポーツ番組に頻繁に使われ、チャートにこそ入らなかったが、(そもそもシングルカットしたのだろうか)結果的に彼らの一番有名な曲になっているということだ。
なるほど、それで日本でも頻繁にオンエアされてたのか。
帰宅して、17歳の長男に聞かせてみた。
ギターをかじりだした彼は、じっと聴いて最後ひとこと「うん、カッコいいじゃん!」
とても30年前の曲とは思えない、という。そうか、今の若者にも十分通じるんだ。
「これ、演奏するの難しそうだよね。」とも。
「うん、これだけの疾走感を出すのは難しいと思うわ」と私。
でも、いつかバンドでもこんなのできればいいなぁ、なんて思ったり。
とにかく、買って大正解。
CDって、好きなアーティストの作品を期待して買っても、ちょっとイマイチだったということも往々にしてあるではないですか。ところが今回は、この1曲だけのために買う価値が十分過ぎるほどありました。
なんせ、私にとって記憶の彼方にあった曲名もわからない曲。でも、どうしても思い出したかった、もう1度聴きたかった曲なのだから。
しばらくは、飽きるまで聴くでしょう。長年の謎がとけたみたいな気分です。
**********************************************************************************************************************1年3ヶ月ぶりにブログを再開しました。
長い間、ほったらかしにしてすみません。削除しちゃおうかとも思ったけど、自分の記録を残したいという勝手な理由でそのままにしていました。
その間に訪問してくださったり、メールやコメントをいただいたり、再開を促してくださった方々、ありがとうございました。
今後も時折、日々感じたことなどを書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
10代後半のころ、つまり70年代の終わりに、夏になるとFMでヘビーローテーションしていた曲だ。
すごくカッコいい曲だった。インストゥルメンタルで、とにかくギターがスリリングでカッコいい。
イントロはピアノ。そのあとストリングスがかぶる。
スローテンポだが、緊張感のあるメロディー。これが序章のような感じで続いた後、一転してアップテンポになり、ギターがかき鳴らされる。
この曲・・・何というバンドの何という曲だったかしら?と、思い出すたび、記憶をたどっていた。しかし、夏になるとよくかかった曲、としか思い出せない。
でも、たしかバンド名だけは覚えていたはず・・・とさび付いた脳細胞の古い回路を一生懸命たどり、やっと答えが引き出せた。
「パブロ・クルーズだ!」
検索して、ヒットした文章を読む。「パブロ・クルーズと言えばサーフロック云々」と書かれている。へえ、サーフロックってジャンルがあるんだ。だから夏によくかかったのかな。そういえばなんとなくサーフっぽい、というか海へのドライブなんかにあいそうな曲だ。


と思って今度はAmazonで検索した。何枚かのCDが出てきた。


次のCDをクリック。
わあ、な、なんだこのジャケット。むさくるしいお兄さんたち。

サーフロックのイメージと違いすぎる。さわやかさがない。かといってマッチョというわけでもなく、なんとなく中途半端なお兄さんたちだ。
70年代には、こういうのが良しとされたのかしら?と思いながら1件だけついてたレビューを読む。
「ジャケットは暑苦しい男たち」とあって笑った。
その後、「この1曲を聞きたいがためにこのCDを買った」ということが書いてあった。
それこそ、私の探していたインスト曲だった。
曲名は「ゼロ・トゥ・シックスティ・イン・ファイヴ」
なんか覚えにくい名前。だからFMでも聞き逃してたのかな。
レビュワーが「この1曲のために」買った、というだけあって、どうやらそれはなかなかの名曲らしい。よーし、私も買っちゃおう。
とは思ったものの、節約根性でオンラインストアをいくつか探してみた。1曲だけDLできたらいいのだから。しかし、30年以上前の、そんなにメジャーじゃないバンドの、大ヒットしたわけでもない曲が、オンラインストアにあるわけなかった。
ちょっと悶々としていたところ、次男がタイムリーにも「アマゾンでCD買いたいんだけど」と言ったので、便乗して買うことにした。昔のアルバムなので思い切り廉価盤、たった1744円。(それでも節約しようとした自分が悲しい)
2日後、車で出かけるときにポストを見たらそのCDが届いていた。
車に持ち込み、早速開封した。ドキドキ。昔の恋人に会うような気分。
「ゼロ・トゥ・シックスティ・イン・ファイヴ」は6番目。当然真っ先に聴いた。
おお、これこれ!この曲よ!今聴いてもまったく遜色ない。カッコいいではないか。
ストリングスのアレンジが70年代ディスコっぽくて、ちょっと古くさい感もあるが。それを差し引いても十分カッコいい。昔は気づかなかったが、案外ピアノが目立っている。
ライナーを読むと、バンドの中心人物コリー・レリオスは6歳からクラシックピアノをやっていたということ。いわれてみればいかにもそれらしいフレーズが続く。
しかし、この曲、ドライブに最高だわ。疾走感。アマゾンのレビュワーも書いてたっけ。
結局、私は予定より遠い場所を目指すことにし、より長く運転してこの曲をリピートしまくった。気持ちよかった。
十分満足した後、やっと1曲目から聴いてみた。
うん、いかにもあの頃のアメリカン・ロックである。ウエスト・コーストって感じ。
ライナーを読むと、サンフランシスコ出身のバンドとなっていた。
そして「ゼロ・トゥ・シックスティ・イン・ファイヴ」は、サーフィン映画の古典的名作「FREERIDE」のテーマ曲に抜擢され、パブロ・クルーズはそれで全米の若者に有名になった、と書いてある。だからこの曲には「フリー・ライド・サーファー」という副題がついている。
その後、アメリカ3大テレビの人気スポーツ番組に頻繁に使われ、チャートにこそ入らなかったが、(そもそもシングルカットしたのだろうか)結果的に彼らの一番有名な曲になっているということだ。
なるほど、それで日本でも頻繁にオンエアされてたのか。
帰宅して、17歳の長男に聞かせてみた。
ギターをかじりだした彼は、じっと聴いて最後ひとこと「うん、カッコいいじゃん!」
とても30年前の曲とは思えない、という。そうか、今の若者にも十分通じるんだ。
「これ、演奏するの難しそうだよね。」とも。
「うん、これだけの疾走感を出すのは難しいと思うわ」と私。
でも、いつかバンドでもこんなのできればいいなぁ、なんて思ったり。
とにかく、買って大正解。
CDって、好きなアーティストの作品を期待して買っても、ちょっとイマイチだったということも往々にしてあるではないですか。ところが今回は、この1曲だけのために買う価値が十分過ぎるほどありました。
なんせ、私にとって記憶の彼方にあった曲名もわからない曲。でも、どうしても思い出したかった、もう1度聴きたかった曲なのだから。
しばらくは、飽きるまで聴くでしょう。長年の謎がとけたみたいな気分です。
**********************************************************************************************************************1年3ヶ月ぶりにブログを再開しました。
長い間、ほったらかしにしてすみません。削除しちゃおうかとも思ったけど、自分の記録を残したいという勝手な理由でそのままにしていました。
その間に訪問してくださったり、メールやコメントをいただいたり、再開を促してくださった方々、ありがとうございました。
今後も時折、日々感じたことなどを書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
▲
by gbsatomi
| 2008-09-04 01:15
| MUSIC
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