嵐が丘 ―Wuthering Heights― ケイト・ブッシュの世界

「♪Out On the wiley, windy moors We'd roll and fall in green・・・」
b0036381_036340.jpgケイト・ブッシュのデビュー作にして最大のヒット作品。1978年のことだから今の若い人は知らない人が多いかも。さんまの「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマ、といえば「ああ、あれね」とわかる人もいるかな。

これがイギリスで大ヒットしたとき、私は高校1年生。
「エミリ・ブロンテの『嵐が丘』にインスピレーションを得て弱冠14歳でこの曲を作ったイギリスの天才少女。デイブ・ギルモアに見出されて衝撃のデビュー」
という宣伝文句はそれだけで私の心をそそった。だって「嵐が丘」には特別な思いがあったから。

亡き母がいつも言っていた。
「ママはね、若いとき『嵐が丘』を見て、ローレンス・オリビエがあまりに素敵で『ポーっ』となっちゃって、帰りの切符を買い間違えてね・・・」
b0036381_03701.jpgいつも嬉しそうに、短かった青春時代のエピソードを語る母に影響され、「嵐が丘」に興味を持ち、本を読んだ。もちろんその頃は「世界名作全集」みたいな子供向けに書かれた本であったが。
中学のときリバイバル上映されていた、その映画―ローレンス・オリビエ、マール・オベロン主演の「嵐が丘」も母と一緒に見にいった。モノクロだったが母の解説もあいまって、それは私に強烈なインパクトを与えた。
「ママはね、この広大な原野のような、こういう雰囲気を舞台としたお話が大好きなのよ」 
ふーん。不毛の荒野、寒々しいモノクロ画面、おどろおどろしい復讐劇・・・(この時点では、まだ原作を読んでいなかったので映画のセンチメンタリズムに流されてもいたが)
とにかく、母の影響大でこの物語に特別な思い入れを持つようになった。

その物語に想を得たという曲をひっさげてデビューしたケイト・ブッシュ。
一度聞いただけですぐにデビューアルバム「The Kick Inside(邦題:天使と小悪魔)」を買いに走った。当時お金がなかったので、輸入盤(アメリカ盤)を買った。b0036381_0375698.jpg



日本盤のジャケットもそうだが、ノーブルでありながらセクシーな彼女のビジュアルも魅力的だった。b0036381_0385637.jpg



(今の日本盤ジャケットはこれ↓に変更)
b0036381_0463744.jpg

そして件の曲「Wuthering Heights」。
♪Heathcliff, it's me, Cathy, come home
I'm so cold, let me in in-a-your-window
(ヒースクリフ、私よ、キャシーよ、帰ってきたのよ。
とても寒いわ、中に入れてちょうだい)

もうこの一節でKOです。「キャシーの亡霊」という妄想にとりつかれ、狂ってしまうヒースクリフ。
膨大な物語のエッセンスをぎゅっと凝縮したような歌。魅せられてしまった。

ちょうどその頃、ケイト・ブッシュは「東京音楽祭」(こんなもの、あったんですねえ)
に出場するため来日した。そこで彼女が歌ったのが「The Kick Inside」の1曲目「Moving(邦題:嘆きの天使)」。初めて見る生ケイトである。いや、生ではないが、PVなるものがそんな簡単に見れない時代(MTVなんて当然ないもんね)に当時一番気になっているアーティストの映像を見れるなんて。ワクワクしながら夜7時のオンエアを待ったことを思い出す。
彼女は一番最初に出て、歌った。いや演じたと言うべきか。
ヒラヒラと神秘的な、妖精のようなドレスを着て、パントマイムをしながら歌うのだ。
b0036381_0512654.jpgこんな人初めて見た。この曲の最後の歌詞は
「You crash the lily in my soul,soul,
soul~」というのだが、その「soul」のところが、か細い声だけど心の奥から、そう、もろに魂を搾り出すような歌い方で、その振り付けもはっきり覚えている。胸をえぐるというのか、手を胸の前にかざしては首の方に向けて掌を返す。そのときのカメラ目線。
「わあ~っ!パントマイムってすごい!そしてこの人はこんなパフォーマンスができる人なんだ」
すっかり魅了されてしまった私は、それ以来この素敵なお姉さま(私より4歳上)のとりことなった。

買ったLPはアメリカ盤なので、当然日本語訳はなく、ビートルズの「Sgt.」
みたいにジャケットの裏側に載っていた歌詞で、彼女の世界を味わうしかなかった。
でも変に訳を見るより、かえって「ケイト・ブッシュの世界」を自分なりに構築できたような気がする。ビートルズを好きになって以来、ビートルズが何を歌っているのか理解できるような英語力を身につけようと、とりあえず英語だけは一生懸命勉強していたし。(他の科目はさっぱりだったが)
例えば「Feel it」という曲がある。フィール イット、何をフィールするのだろう?と思ってよく読むと「After the party  You took me back to your parlour. 」 「A little nervous laughter」 「Locking the door.」「My stockings fall onto the floor」「See what you’re doing to me」とある。なんだか高1の小娘(いまどきのコと違い、ウブでした)でもムムム、と考えてしまうものがあった。そう、官能的でありながら上品さを備えた、それはケイト・ブッシュ独特の世界なのだった。

適当にヒットを放ちながらも、あまり商業主義にのまれることなく、独自の世界を昇華していった彼女だが、ここのところさっぱり音楽活動から身を引いていた。と思いきや、昨年11月に12年ぶりの新譜が出たのだ。b0036381_0525288.jpg
「エアリアル」。2枚組の大作で、30分超の曲もあるという。
私はこれを聞くのを封印している。これだけに没頭できる環境になってからじっくり聞きたいので、春以降(おそらくそういう環境になっているとの希望的観測)に購入して、久しぶりのケイトの世界を味わうつもり。
万人向けじゃないけど、好きな人はめちゃ好きだと思います、ケイト・ブッシュ。



ここで「Wuthering Heights」はじめ私の好きな「Breathing(邦題:呼吸)」など一部が試聴できます。
でもどうかな、試聴だけでは「魔女みたい」とか「狂気をはらんでる」と思われちゃうかも。
私にとってケイト・ブッシュは、そのようなものではなく、もっと高尚なもの、高みの世界にいる人である。(ビヨークとかと同列に語られたくない)
やはりトータルで聞いてほしいアーティストです。
歌詞に興味を持った方はこちらに。最新作まで全作品が出ています。
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by gbsatomi | 2006-01-30 00:58 | MUSIC


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